イチオシのzine vol.2


鍵が見つかりませんお月様。

眠る樹海堂 土佐岡マキ著 300円

「みちるの言う定位置は、定位置として信用できない」

 

 まだ寒さの残る3月のある日、帰宅したみちるは自宅の鍵が見当たらないことに気付く。

 道端に落とした? それとも、会社に忘れた?

 よりによって同居人は留守、おまけに携帯電話も不携帯という絶体絶命の状況下で、みちるができるのはただ一つ。

 ああ、月が綺麗だなあ(現実逃避)。

 とにかく、同居人のあなた、早く帰ってきてください。

 そろそろ凍え死にそうです。

 

 ……というところから始まる日常系ミステリ(?)

 大雑把OLみちるが、世話焼きオカン系同居人に日頃の生活態度を罵られながら鍵の在り処を考える、ライトな謎解きモノです。

 ノリはコメディですが、伏線はそこそこフェアかと思われます。

 問題編・解答編に分かれていますので、自分で答えを考えたい人は問題編をじっくりと読んでみるのがオススメ。さっくり読みたい人は解答編まで続けてどうぞ。

 気軽に失せ物探しをお楽しみください。

 

文庫48P/300円



Irony

花森ゆきめ著 500円

【Irony】

皮肉、反語、意外な成り行き

Ironyをテーマに描いた

映画の予告編のような、物語の欠片で出来た21のショートテキスト集

詩のような短さのお話です

誰にも言えない企みや、秘めたままでいたいこと、

様々なIronyを一頁にひとつ

ないしょ話をするように綴りました

少し意地悪な一冊です

ちょっとヒリヒリするかもしれません

絆創膏、もしくは氷砂糖を用意して読むことをお勧めします

※甘さ控えめ、お気をつけて

 

◆目次◆

流し目ノート

夜の使者

境界線

催涙楽団

ヒーローの憂鬱

ひみつ結社

喪失

魔女の靴

スペアⅠ

スペアⅡ

居留守番

お誘い

黒衣の参列

砂の城

祝辞

おめかしミノムシ

うわさの人

カスミソウ

エナメルの果実

脅迫

夜警

 

44P/A6/500円



本と世界と物語

hs*創作おうこく。せらひかり著 200円

・すこし不思議。掌編集。A6サイズ40P

 

<収録タイトル>

一千一夜(万能図書館・「とじてん」参加作品)/音がする/本の世界/星/本と世界/雨月古書店/ふしぎのくにの/どろろんとおじいちゃん/おじいちゃんとどろろん(続きの話)/王様の耳は/異界トラベル/わるいドラゴン/リストランテトルテリーニ

 

<見本>

・ふしぎのくにの

 ありすはウサギがきらいでした。ウサギも、ネコも。

 古い、おばあさまの着物をほどいて、丈を短くして作られたドレスは、ありすの足下をいつも不安にさせます。

 あぁ、また。

 擦り切れたベルベットのような絨毯を踏んで、ありすは二階へ駆けていきます。

 

・星

 星をつかまえてきて、紙袋に入れる。

 

・雨月古書店

 雨雲がやってくると、空が暗くなるのにあわせて、大きな羽ばたきが近づいてくる。

 目を凝らしていると、青、緑、深い赤色、表紙の取れたものまで、人々に愛されたであろう本たちが、素早く、ときにはよろめきながら、空を渡っているのだった。

 

・どろろんと、おじいちゃん

 庭に白いものが落ちてきた。

(これは噂の……)

 正宗おじいちゃんは、ごくりと唾を飲み込んだ。

「どろろんか……!」

 確か、そのような飛行型の撮影ロボットの名称があったはずだ。

 おじいちゃんが近づくと、がさがさと、白いものが動きはじめた。茂みに引っかかって、もがいているようだ。

 

・王様の耳は

 王様の耳は、猫の耳でした。

 ある朝、新入りの侍従は王様の髪をとかしつけながら気づいたのです。

 ぴん、と立派に立った、先の軽く丸みを帯びた、薄茶色の猫の耳。

 王の寝室で今日の予定を読み上げる宰相も、朝食の席で皿を取り替える者も、皆一様に耳のことには触れません。

 今日は、お妃様が輿入れしてくるというのに。

 

・わるいドラゴン

 助けてえ、と姫君の叫び声が谷間にこだまする。ドラゴンは皮膜の翼を広げて、騎士たちを威嚇した。

 今すぐ助ける、と、若い王が崖の縁にぶらさがって言う。ドラゴンはちょっと困った顔をしてから、若い王に襲いかかる。ドラゴンの尾がうまいこと若い王の足に引っかかり、王は崖縁に跳ね上げられる。

 いったん離れたドラゴンは、若い王と目を合わせる。頷きあって、一気に距離を近づけた。



七彩の虹曜日

宵星社 ななつ・朧著 200円

10月で結成2周年を迎える「宵星社」の2人、ななつと朧(綺想編纂館)のコラボ本第二弾です。

今回のテーマは1週間の7曜日×虹の7色。

1週間の各曜日に虹の七色を組み合わせて、ひとつの曜日につき1枚の写真と200文字程度の短い物語で綴っています。

赤い月曜日、青い火曜日、橙色の水曜日、紫色の木曜日、緑色の金曜日、水色の土曜日、黄色の日曜日…ななつと朧それぞれの視点から描く、虹色の1週間をお楽しみください。

 

掌サイズの小さな本でページ数も多くはないですが、コンセプトを決め、物語を書き、写真を撮影し、本のデザインを作り、最終的に一冊ずつ手作業で製本している本なので思い入れが強い本でもあります。

 

表紙は虹のアーチをイメージしました。虹の色をひとつひとつ越えていった先にどんな景色が見えるのか、カレンダーをめくるように各曜日の色を楽しんでいただければ幸いです。

そして、手に取ってくださった方の毎日にほんの少しの彩りを添えられたら嬉しいです。

 

大切な人と笑った澄んだ色の日も、ひとりで泣いて濁った色の日もある。

忘れられない濃い色の日も、忘れてしまった淡い色の日もあるけれど。

毎日に色をつけながら、虹の向こう側へ。

あなたの今日は、何色ですか?



ふぉとば本第2弾 ぽつん

ふぉとばしょ(photo+ことば)/ふぉとば作家 沙耶著 500円

写真にことばをのせた、ふぉとば本 第3弾です。

ふぉとば とは写真(photo)+ことばを組み合わせた造語です。

自分の心に素直に。

それが前向きでも後ろ向きでも、そう思うならそうすればいい。

そんな思いをこめた作品です。

それぞれの写真の主人公がその時自分で決めたことや思ったことを、ことばにしています。

『完璧じゃない わたし でも 輝ける そんな 素敵な世界』

『繰り返し 想うはあなた ひとりだけ 毒と知っても 傍にと願う』

 

写真だけ、ことばだけ、も私自身とても好きですが、

写真とことばが一緒になってこそ伝わることもあると思います。

撮った写真を見つめているとインスピレーションが湧きます。

この生き物は、この場所でどんなことを思っているんだろう。

そんな風に考えるのが好きなので、被写体目線の作品が多いかもしれません。

想像してクスッとしたり胸がギュッとなったり、

被写体と自分を重ねてみたり、被写体になりきってみたり……

少しでも楽しんでいただければ幸いです。

 

B5/500円



読む電柱2 蕩ける電柱

おとといあさって らし著 200円

(電柱組合機関誌「ささえる」10月号からの転載)

日々の業務お疲れ様です。 

今日は皆様に耳よりなお知らせがあります。この度、われわれ電柱の形を模した小説本「読む電柱」シリーズの第二弾、「蕩(とろ)ける電柱」が刊行されました。「読む電柱」シリーズは、幅5センチ×高さ14センチほどの紙製の電柱で、解体することにより中に書かれているお話を読むことができる“本”です。読んだ後は元通りに組み立て直して飾っておくことが可能です。お話の主役は、もちろんわれわれ電柱です。

あらすじを簡単にご紹介しましょう。 主人公は長い年月働き続け、身も心もくたびれ果てた電柱です。ある日「立ち仕事で疲れたら温泉に行くとよい」という話を耳にして、真夜中、誰もいない露天風呂に忍びこみます。生まれて初めて温泉につかった電柱は、心身ともに深く癒され、恍惚となります。ところが、あまりの気持ちよさにだんだん体が柔らかくなってきて――この続きは実際に読んでのお楽しみ。

 

残念ながらわれわれの生活や文化は、人間たちにはあまり正しく理解されているとは言えません。それどころか、「動かない」「疲れない」「何も考えていない」など、実際とはかけ離れた先入観を持たれてしまっているのが現状です。

「読む電柱」シリーズの特筆すべき点は、人間の作品としては珍しく、登場する電柱像にリアリティがあることです。本シリーズの電柱たちは、夜な夜な寝静まった世界をうろつき、遊んだり、恋をしたり、夢を見たり、諦めたりする、等身大の円柱です。

著者が人間ゆえの限界か、電柱の動作や心理の描写にはところどころ違和感を覚えることもありますが、全体としては比較的よくわれわれのリアルを描き出しています。〈温泉で液状化してしまった電柱〉の話は私も噂で聞いたことがあります。きっと著者は、親しい電柱に取材をしてこの物語を書いたに違いありません。

「蕩ける電柱」 の販売価格は200円。10/15〜16に大分県別府市で開催される、「Zine展inBeppu3」※にて販売されます。 

 

秋の夜長、皆様も本の世界を旅してみてはいかがでしょうか。

 

※このイベントは人間が企画・主催するものです。電柱の来場が可能かどうかについては事前に主催者にご確認ください。来場が可能な場合でも、混乱を招くことのないよう周囲に配慮し、慎重に行動してください。トラブルが発生しても当組合は一切責任を負いかねます。



福豆文庫セット

こころあそび著 1,400円

誰にでも読みたい詩がみつかるよう、100歳までに100種類を目標に刊行している「福豆文庫」。手芸屋さんで表紙になる柄の布を探して、それぞれのテーマで詩を書き、1冊1冊手づくりしています。

 

作り始めたのは2009年。夢だった詩集出版が実現し、書店員としても働きはじめた頃、さてわたしはこれからどうしたいのだろう?と考えていました。作詞、路上詩人、同人誌の参加、コンテスト応募、詩のボクシング、コンクリートポエトリー・・・詩といろいろな関わりかたをしてみて、やっぱりわたしは紙にのった詩が好きだと気づきました。できればまた、本を出版したい。けれど、1冊の本を出版するまでにはたくさんの時間とお金がかかり、それを購入する側にとっても、本は安価なものではありません。書店員として大量生産される本に囲まれて日々すごし、毎日ぴかぴかの新刊に出会えるよろこびの反面、さよならしなければいけない本へのかなしみも味わいました。作る側も手にとる側も、もっと気軽に本と触れ合える、たとえばハンカチのように誰もがシャツの胸ポケットにしのばせておけるような、日常にとけこむ本を作りたいという思いから、福豆文庫はうまれました。

 

今回は現在24種ある中から、最新の4種をセットにしました。「人間鳥コンテスト」は、鳥がどれだけ人間のように歩けるか競うお話。「寿」は、だれかの結婚祝いに。「初恋の頃」は、いつかを思い出す風景。「未完成キネマ」は、続きを完成させてください。

 

●朝のあいさつが終わると/早く行きたい次の朝/走っても歩いても振り向いても/たどりつけない次の朝/鳴こうとして口をあけたら/コケコッコのかわりに/出たのはあくび/そのまま寝たから 8位(人間鳥コンテストより「にわとり」)

●たのしみかなしみ/おしみいとおしみ/いろいろなしみがついていく/わがやのカーテン/いつかしみじみ/あなたと見つめたい(寿より)

●きみがどんな人で/どんなところが好きだったのか/思い出そうとしても/浮かぶのはその姿だけ/どんな音楽をきいて/どんなものを食べて/どんな大人になったんだろう(初恋の頃より)

●入り口に白い紙と絵の具/訪れた人は靴底をはんこして/館内のどこかにそれを飾るきまり/入場料は無料/しかし増え続けるあしあと/毎年少しずつ/増築しなければならない/ところで人々はどうして/ここへ来るのだろう(未完成キネマより「あしあと博物館」)



ぬりえ本 装飾乙女

-Garbo- 325-mitsuko-作 500円

中世貴族の美意識によるやり過ぎた装飾ヘアスタイルを

ぬりえにしました。



花咲く。にーさんとポチの日常

佐伯イチ著 300円

日本昔話の「花さかじーさん」をモチーフにした、

主人公「にーさん」と「ポチ」の日常をゆるく、ときにシュール(?)に描いた絵本のような漫画のような作品です。

行動力ありすぎる隣人、進化する犬、全てを受け入れるにーさん。

不思議な出来事が彼らにとって幸福なのか、不幸なのか。

読む方に全て丸投げ・・・お任せしたいと思います。

 

日本昔話ってよくよく読んでみると、シュールですよね・・・。とか

思いながら、自分好みにアレンジを加えて毎回本を作っております。

 

手の平におさまるサイズの、ゆるい絵本シリーズ最後の作品です。

手作業で切ったり貼ったりしていますので、

少々サイズが不揃いです。ご了承ください。

(次回作からは印刷所を利用しており、サイズはA6サイズになっています。

また、日本昔話以外のお話しも作り始めましたので、

ご興味ありましたらそちらも是非手にとってみて下さいね。)

 

A7サイズ以内:32ページ:300円



「いろぼんvol.1 夢十夜」

パンと編集著 700円

 

▼おすすめしたいところ

文学と言うと、難しいイメージがあるかもしれませんが、

中にはとても美しく何度も読みたくなる物語があります。

 

私にとって夢十夜(第一夜)はそういう存在の物語で、

読んでいくうちにモノクロだった世界が

極彩色の世界に変わっていくように感じました。

それはとてもドキドキする経験で、

その想いを形にしたいと絵本のように色彩をもつ体裁にまとめました。

 

この本は全ページレトロ印刷という印刷手法で刷っています。

機械でやりますが版画のように1色ずつ載せていく印刷方法で

独特の風合いがあるのが特徴です。

このレトロな感じが、夢十夜という神秘的な物語に合うと思っています。

 

zineには鉛筆と一筆箋をセットにしていますが、

いろんな種類がありますのでぜひ今の自分にピンと来るものを

選んで頂けたら嬉しいです。

鉛筆と一筆箋は、夢十夜の中の言葉を選んで刷っています。

 

これからもこの文学シリーズは育てていきたいなと思っています。

次回は芥川龍之介の「蜜柑」にする予定です。

わたしの進路にも関わった作品で、

予備校で入試問題を解いていた時にこの物語に出会い、

理系だったのに文学の美しさに魅せられて

休み時間に文系に転向したいと伝え、実際に文学部に進んだほど

影響をうけました。

 

文学の美しさをこれからも形にしていけたらと思います。

 

どうぞよろしくお願いいたします。



月夜の演奏会

花野ことり 2,000円

〈ごあいさつ〉

 こんにちは。花野ことりです。透明水彩を主に使用したイラストを描いています。(今回はアクリル絵の具も使用。)

今回ご紹介いたしますのは、イラスト、印刷、裁断、装丁を一から行った手作り絵本『月夜の演奏会』。長文ですが、最後まで目を通していただければ幸いです。

 

〈おはなし紹介〉

まずはおはなしのご紹介から。

時は平安時代。主人公のたぬきの中将は篳篥(ひちりき)という楽器を演奏するのですが、うまくひけません。そこで、たぬきの中将は次々に他の動物たちの真似をして自分に合った楽器を探します。ところがやっぱりうまくいかず・・・たぬきの中将が自分を取り戻していく優しいお話。絵だけで物語が展開されていきます。

 

〈作品成立の背景〉

作者花野ことりは絵と古典文学が大好き。その絵と古典が融合したのがこの作品です。

私は和本に触れる機会が多く、和本をめくる時の気分を多くの人に感じてほしいと思い、優しい手触りの和紙を表紙と見返しに使用しました。また、絵は絵巻物を見ているような気分になれるよう、古典の世界観にこだわりました。実はこの話の元となったのは、清少納言の『枕草子』の記述。清少納言は作中で、篳篥の音はクツワムシのようでうるさい、といった旨を述べています。古典好きの方にも古典嫌いの方にも楽しく手に取ってもらえたら嬉しいです。

 

〈作者のおすすめポイント〉

 古典の世界観を出すために、衣装、小物にこだわっていますが、それだけでなく、ぜひ見てほしいのが、和柄での表現。振袖の柄を参考にした箇所があります。どこだと思いますか?よかったら探してみてください。

 

〈雑貨×絵本〉

 さて、今回、目指したのが絵本であると同時に雑貨であるという形態。そのために、あえて表紙、見返しの柄を統一しておりません。雑貨を選ぶような感覚で絵本を手に取ってほしい。そう考えて、好きな表紙、好きな見返しの組み合わせを選べるようにしました。中身は全て同じ話ですが、表紙の色・柄が異なるだけで不思議と違う本に見えるのです。書店に並んでいる本とは違い、一冊一冊が個性を持っています。

 

〈おわりに〉

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。ぜひ、お手に取って、一冊一冊の本と向き合ってみてください。



ゆきのふるまち

象印社 くまっこ著 450円

『バスはわたしと蒼子ちゃんだけを乗せて、しんしんと雪の重なる夜の坂を登ってゆきます。ギシリギシリと雪を鳴らしながら。』

 

舞台は年中雪の降りしきる町、雪町。庶民は町外に出ることのできない、完結された町。

町をめぐるバスの終点「丘の上のお屋敷」でともに暮らす三人の女の子たちが、ときに悲しみに出会いながら、誰かの優しさに触れながら、自分に向き合ったり、誰かに頼ってみたり、何かを信じたり、何かに気付いたり。

ひたむきに、前を向いて、日々を暮らしてゆく物語。

 

パティシエを目指しながら、喫茶店で働く結衣。

幼馴染みに寄せる想いに悩む、ショップ店員の蒼子。

隣町が見渡せるお屋敷の持ち主、香苗。

 

――彼女たちの物語がそれぞれ、オムニバスで綴られている一冊。

 

*掲載作品***

 

「雪町」

 美味しい珈琲に定評のある純喫茶ブルーエへ、仕事帰りに立ち寄るのが蒼子の日課。

 丘の上のお屋敷で待つ香苗のために珈琲豆を買ったり、そこで働く結衣を待って、一緒にお屋敷へ帰ったり。

 結衣の視点から見た、三人の女の子の、楽しくて柔らかな日常のお話。

 

「蒼子ちゃんと香苗さん」

 幼馴染の透太と喧嘩をした蒼子は、傷心のうちに、いつもは乗ることのない「丘の上経由」のバスに乗り知らない土地へと向かう。

 そこで出会ったのは、丘の上のお屋敷に一人で暮らす香苗だった。穏やかな香苗の言葉に、蒼子の心はほだされてゆく。

 

「蒼子ちゃんとわたし」

 香苗に勧められたお菓子教室で、蒼子は結衣と出会う。

 お金がなくても、明るく屈託なく夢を語る結衣を見て、蒼子は自分もまた、今の仕事に夢を持っていたのだと思い出す。

 

「香苗さんと鱒谷さん」

 自分の子供が予定より早く生まれると聞いて駆けつけた病院で、鱒谷は香苗と出会った。

 少女の香苗は鱒谷に、生まれた子供への祝福を告げて去ってゆく。

 数ヶ月後、病院で再会した香苗と鱒谷は、同じ境遇を分かち合う……。

 

「木町」

 楽しかった日々から十年。丘の上のお屋敷を離れた結衣は、喫茶ブルーエを一人で切り盛りしていた。

 そこへ訪れた鱒谷から、美しい本と三枚のチケットを渡される。

 そのチケットは、木町へゆけるバスと観覧車の乗車券だった――。

 

***

誰かの優しさに触れれば、それは別の誰かの優しさへと伝わり、そうして優しさは連鎖する。

世界は優しさでできていて、それは……ひとかけらの悲しみで一層彩られる。

 

そんな物語を、あなたの手のひらへお届けします。



「雨の引力、夜のりんご」

42101 著 600円

鉱石の星でたたずむルーシーと、雨雲を追いかけて旅をするくさかんむりのお話。アースで教わった「りんごの落ちる先」について、くさかんむりがしたためた手紙。そして、その手紙を受け取ったルーシーが思うこと。

 

2016年6月に五月病さんと同タイトルの二人展を開催。展示に合わせての発行を予定していましたが、結局は、すべてを終えたタイミングで制作しました。展覧会開催に際して、あこがれの内側を垣間見られる時間があり、たくさんの刺激をうけました。その一連の流れの中で思ったこと、考えたこと、つかみどころのない気持ちのようなものを、今のムードで咀嚼したものがこの1冊です。

 

相変わらず、ぼやっとした仕上がりですが、その端々にあり余る作者の熱量を感じられるのでは、と思います。思いのほかハイカロリー。ただ、胸やけしないように万策尽くしたつもりです。

 

なんとなくいつもよりカジュアルな装丁は、表紙の封をカットして楽しんでいただくスタイル。封を切れば、内側はにぶく黒光りして、わずかばかりの宇宙が展開します。

 

約95mm×125mm×32P/2016.07.18.発行/

#宇宙的 #青さ爆発 #コミック系 #モノクロ #中綴じ&袋綴じ風味 #やや大きい(既刊比)

【関連のツイート】

https://twitter.com/10124_/status/759026784591450112

https://twitter.com/10124_/status/756133637163061250



Dreams

Erina作 850円

陽だまりのアーティストErinaです。絵描きをしながら、グッズの製作をしています。

メッセージや物語を感じるような絵を描いています。

今回zineは、この一冊のみの出品となります。

この本は今までの作品で特にメッセージ性のある絵を10点厳選したものに、

それぞれメッセージを添えた一冊となっています。

絵だけでは伝わりきらない絵に込められたメッセージを伝えれる本をいつか作りたいと

ずっと以前から願っておりました。

今回初めてメッセージ&作品集が出来上がり、出品できることを嬉しく思ってます。

ページ数は全24ページでA5サイズの大きさのzineです。

 

タイトルはDreams

夢や希望がいっぱい詰まった一冊です。ぜひ手に取ってご覧になって下さい。



校庭の群青

きさらぎ著 100円

2012年発行/文庫判/12ページ/100円

収録内容

 プラスワン

 the anatomy of mine

 あおいはる

 閃光花火

 カーボン

 

高校卒業前~卒業してしばらくの間に書いた詩を5編収録しています。

ひとりで初めてつくった冊子ということもあり、お家でコピー仕様です。

 

セーラー服への別れ、自分自身について、成人するにあたって……。

とにかく青い季節に書き、そのまま印刷して綴じた。

そんなイメージの強い一冊です。

 

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青く ひたすら青く

青いまま

 

春一番も吹かないうちに

別れを告げた

 (「あおいはる」より)

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表紙の写真は高校在学中、部活動で必要な写真を撮影しているときに何気なく撮りたくなった1枚です。

本当は縦書き原稿用紙がよかったのですが手元になく、たまたま持っていた横書き原稿用紙で代用した。

という割とどうでもいいエピソードがあります。

 

しばらくはたまに折本をつくるくらいの状態でしたが、

今年もzine展inBeppuが開催されるということでほんの少しの気合を入れたつもりでいます。

当日は少し久しぶりの新刊も並ぶ予定です。

以前「校庭の群青」をお手にとってくださった方はぜひ、新刊もよろしくお願いいたします。



ぎょくおん

ザネリ オカワダアキナ著 400円

姉さん、おっぱいがでます。

おれの戦争はまだ終わっていなかった。

 

姉との共依存関係から逃げるように東京を離れ、海辺の温泉宿で住み込みの仕事を始めた男・湯田郡司(ゆだぐんじ)。

いっさいの連絡を絶って一年になろうとしていたが、心は吹っ切れない。 また、常用している薬の副作用による乳汁分泌に悩まされ、消極的な死に憧れを見出していた。

ある日郡司は姉とそっくりな少女と出会い、姉の生霊ではと混乱する。

妄想を克服しようとするうち、旅館の社長の姪から秘密を打ち明けられたり、同僚の男と関係したりするが……。

やがてゲンバクよろしく、郡司に降ってくる圧倒的な痛み。よわいおとこはどのようにして“玉音放送”に至るのか――。

(※男性の母乳、同性間・異性間での性交渉に関する描写があります。直接的・詳細な描写ではないので年齢制限は致しません。)

 

はじめまして、オカワダアキナといいます。

「朝起きたら死んでますように」

「知らない土地で生まれ直したい」

ゆるやかな消滅/蒸発願望を抱えた弱さを、愛したい赦したいという立場から書いた小説です。

主人公がたどりついた海辺の町は明確にどことは決めていないのですが、別府は雰囲気的に近いような気がします。

主人公は真剣ですができごとは卑近、というエンタメ小説です。ポケットに入る軽い文庫本ですので、海へのお散歩に連れて行っていただけたらこれにまさる喜びはありません。表紙はとてもはがれやすいのですが、そういったところも物語に合っているような気はします。

 

小説の紹介・導入としてショートフィルムを作りました。よかったらご覧ください。

https://youtu.be/STcAlh-3uio 

 

本文サンプル:

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6581643 

文字組サンプル:

http://akinamushi1012.wix.com/okwd#!new/t6l1s 



オートカクテル2015耽美 アンソロジー

白昼社編 1,000円

《美しさを基準に結婚相手を選ぶことが、善良さを理由に 結婚相手を選ぶことに対してよくないと感じられるのであれば、それは何故だろうか?》

10代から30代まで、多彩かつ気鋭の13人の「美」への果敢な試行が実を結んだ文藝誌。

 

白昼社が数年おきに発行している文藝誌『オートカクテル』の2015年版。

テーマを《耽美》に選び、執筆陣各々が「〝美〟とは」について真剣、かつ意欲的に取り組む、小説・俳句・短歌・エッセイなどバラエティに富んだ1冊。映画コラムの別冊付属。

 

悲しみも喜びも、優しさも乱暴も、理性も酩酊も、それらを美へと変換することを可能にすることが出来るのはおそらく人間のみ。

「美」は人間の文学である。美」への頁を辿る、渾身の一冊。

 

執筆陣:伊藤なむあひ・にゃんしー・赤木杏・ひのはらみめい(そにっくなーす)・山本清風・牟礼鯨・霜月ミツカ・恣意セシル・ちょまっこりーな・馬場めぐみ・水銀・eb・泉由良

 



金魚は尾ひれをうしなって

こんぺき出版 豆塚エリ著 1,300円

アンデルセンの人魚姫の物語に心惹かれる。

 

声と尾ひれを失い足を手に入れた少女、

一番欲しかったものは

その身全てを捧げても

手に入れることができなかった少女。

 

失って得るもの、得るために失うもの。

体は不自由、言葉はもっと不自由。

 

人魚姫の美しさに憧れて、

一匹の小さな金魚は

金魚鉢の外の世界に焦がれる。

 

金魚は尾ひれを失って、

一体何を得るだろうか。

 

 

約10年間、今まで書いてきた詩の中からより美しい詩を集めた自選詩集。1年以上前からつくるつくると言ってなかなかつくらなかったやつです。ようやく完成しました。初期の頃の詩集3冊を廃版にしようと思い、また、活動範囲が広がったので、初めましての方に私はこんな作品書いてます、というのがわかりやすいのがあったらいいなと思い、いわゆるベスト盤という位置づけでつくっています。

 

お馴染みプリントオンさんで刷ってもらいました。表紙の紙のタスルーチェ高級感半端ないです。凹凸のある表面にきめ細かなパールが上品に輝きます。

そしてタイトル箔押しの美しいこと!ホログラムと迷い、青色にしました。メタリックにきらっとします。裏表紙もかわいい。とにかく今回は今までで一番装丁がいいです(毎回言ってます)。

本棚に置いた時に思わず手が伸びるような、ずっと手元に置いておきたくなるような本作りを目指しています。

 

A5変形 76p